9月18日(リョウクさんは9月20日)よりオンラインでの公演がはじまる「狂炎ソナタ」について、簡単にまとめてみましたので参考にしてみてください。
今回話題にする内容は以下の4つです。
①登場人物について
②話の構成と原作について
③リョウクペン向け 音楽表現について
④台本&楽譜集について
まず、①についてです。
「狂炎ソナタ」の登場人物について
舞台上に出てくる登場人物は「J」「S」「K」の3人のみです。
簡単な役のキャラクター説明は
J:音楽的名誉のある賞を受賞したことで、Kに師事することとなった音楽家。
S:Jの10年来の親友。過去に音楽でJに助けて貰ったことがある。
K:音楽界で名を知らない者はいない、有名作曲家。
となっています。
ちなみに、キャラクターの名前の由来は下記の通りとなっています。
「J」(Jealousy)
「S」(Sonata)
「K」(Killar)
作品を見れば、この登場人物の由来がすぐに理解できます。個人的に、これはとても分かりやすい表現であると思っています。
②話の構成について
この話の構成は、作品の内容が理解ができればとてもシンプルなものとなっています。しかし作品を初めて見る場合は、少し戸惑うこともあるかもしれません。そのため簡単に説明をしておきます。
この話の作り方は「現在」地点に存在するSとK。そして「過去(1年前)」に存在した3人の話を交互に繰り返すものとなっています。
「現在」地点に存在する2人が、過去のある期間について対話をした後、その期間についての回想シーンが実際に物語上で繰り広げられていく と考えると分かりやすいです。
「現在」地点で話題となる話は、あるひとつの話題に対し、双方の立場の「正義」を語る話となっています。この対話により見ている観客が「この作品が伝えたいこと」について深く考えるきっかけを作っています(但し、あくまでフィクションの話であり、社会一般的な善悪の考え方とは異なります)
ちなみに、作品の中でSの第一声となる「(축하드려요!)おめでとうございます!」は「現在」地点において、Kに対して皮肉のかかったとても重要なセリフとなっています。聞き逃がさずチェックをしてみてください!
そして、原作についても補足程度に触れておきます。
この作品の原作は、金東仁(キム トンイン)作「狂炎ソナタ」という短編作品です。日本でも翻訳され書籍が出版されています。
原作小説と舞台の内容は、結論から言うと全く異なります。
しかし、原作の中でJを匂わせる人物が存在し、その父親とKが学生時代の同級生であった。
という内容のことが記されています。
この部分について、過去のインタビュー等を確認し、舞台で掘り下げているかどうかを確認したところ、参考にして役作りをしている様子が窺えました。(あくまでエッセンス程度です)
そのため、原作を読んだことのある方は少し意識して観劇してみると面白いかもしれません。
原作を読んだことの無い方も機会があれば、読むことをおすすめしたいです。30ページ以下の短い作品のため、比較的読みやすいものとなっています。
③ リョウクペン向け 音楽表現について
この作品は、ピアノを弾いたり歌唱しながら話の内容が進んでいきます。
歌詞の内容がセリフを兼ねているため、隠さずに言うならば、ここが作品の1番の肝です。
そして、この音楽表現の時間にリョウクさんの音楽才能と演者としての努力が全て現れています。
この作品で取り扱う楽曲は、歌詞の中に音楽用語が登場します。
歌詞は「音楽用語」→「用語の説明」というように進んでいくことも少なくなく、音楽の知識のない人が見ても比較的分かりやすい表現となっています。
リョウクさんは音楽が堪能なため、音楽用語を自分の中に落とし込むのがやはり上手と感じました。
また、「音楽の知識のない人が見ても比較的分かりやすい表現」をするために、音楽用語ごとにその意味に合わせ、声色と表情をくるくる変化させるストイックな演者的側面と、歌唱面における圧倒的な表現力で観客に感情を訴えかける力がリョウクさんにはあります。(曲の悲しい場面では、実際に目に涙を溜めながら歌っていたこともありました)
私が狂炎ソナタを好きな理由は、上記の理由が全てです。
過去の公演でリョウクさん以外のJ役の公演を見た際に、細かな表現方法の違いの積み重ねによって、これ程までに観客への感情の訴え方が異なるのかと感激したことを覚えています。(その方の表現を批判している訳ではありません)
④台本&楽譜集について
物販にて販売している「台本&楽譜集」についてです。
この本は、公演の度に発売されているものです。(台本部分が日本語翻訳版と韓国語表記版に別れており、公演する地域によって、その内容を変えて販売しています)※今回の日本人向け通販では日本語翻訳版が販売されます。
内容としては、台本と舞台で演奏される全ての楽曲の楽譜 をまとめたものとなっています。
また、付録的な役割として作品で取り上げた「音楽用語」についての解説も載っています。
これは作品を好きになったならば、ぜひ購入してほしいと思っています。
特に③でとりあげた音楽表現について、あとから調べるときにとても役に立ちますし、楽譜があることで、作品で演奏された楽曲をピアノで弾くこともできます。
以上、簡単にまとめてみました。
観劇の参考にしていただけたら幸いです。
最後に、狂炎ソナタは本当に最高の舞台です。
感激される方は 一緒に楽しみましょう!